Forging Glossary
鍛造用語一覧
あ行
- 相槌を打つ
- 相手に調子を合わせることを表す鍛造由来の慣用句。 刀鍛冶が鉄を打つ際に複数人で調子を合わせて打っていたことから派生。
- 圧延
- 金属の塑性加工の一種。複数のロールを回転させその間に材料を通す事で目的の形状へ加工する。通常、鍛造材料は圧延材を用いられる。
- アップセッタ―(鍛造)
- 据え込み鍛造法。一般的には軸物の鍛造に用いられる。 軸部をグリップ(掴む)する機構と、軸方向に加圧成形する機構を持つ。
- 当金
- トリムで製品を押す部分。
- 荒地
- 仕上げ成形直前の予備成形。
- インサート
- 差し込むことの意。 鍛造ではアップセッタのグリップする機構に用いられる金型を指す事がある。(インサート型)
- インダクションヒーター(IH)
- 誘導加熱。加熱対象の導体(金属)に誘導電流が流れることで導体内に熱を発生させる加熱法。 熱間鍛造の材料加熱に用いられる
- インロー
- 型ズレを防止する為に金型に設けられた凹凸。
- 内(中)バリ
- 製品の内側に発生するバリ。⇔外バリ
- エアドロップハンマ
- ハンマ鍛造設備。圧縮空気により、ハンマを加速度を付けて落下させることで変形エネルギーを得る。
- オーバーヒート
- 適切な鍛造温度よりも材料を加熱し過ぎること。 組織の粗大化や脱炭層が大きくなり、本来の強度がでない恐れがある。
- 置き割れ
- 加工後しばらくすると発生する割れ。残留ひずみや焼入れ後の不安定な組織が原因で発生することがある。
か行
- かじり(キズ)
- 製品の一部が金型により、かじり取られる現象。かじりキズ
- 型打ち
- 金型を用いて行う鍛造作業のこと ⇔ 火造り
- 硬さ(試験)
- 一般的に製品の表面硬さを指す事が多い。試験方法は試料の表面に一定形状の圧子を一定荷重で押し込む方法が多い。ブリネル(HBW)、ロックウェル(HRC,HRB)などがある
- 型ずれ
- 上下金型の芯ズレ。製品のパーティングラインを挟んだ形状の食い違い
- 型鍛造
- 金型を用いて行う鍛造。⇔自由鍛造
- 型命数
- 金型寿命に至るまでの型打ち数。 金型は型打ちを重ねる事で徐々に摩耗が進み、製品の品質、仕様が維持できなくなる。
- ガッター
- 金型においてバリを逃がす構造。
- 金焼
- 熱間鍛造の材料加熱作業。
- 機械的性質
- 材料に応力を加えた際の性質。降伏点、耐力、引張強さ、硬さ、伸び、絞り、衝撃値などがある。
- クランクプレス
- プレス機械の一種。プレス機械の中では最も一般的である。スライドを駆動させる機構が、クランク機構になっており、これでラムを上下させ加圧する。鍛造の加工に用いられる事が多い。
- グリップダイ
- アップセッタ―鍛造において、グリップする機構のインサート型を保持する役割を持つ。
- 黒皮
- 鍛造品の肌(スケールを取り除いた)を指す。機械加工などが施されない箇所を指すこともある。(黒皮部)
- 欠肉
- 製品の規格寸法に対して、丸み、厚みなどが不足した状態。
- 合金
- 鉄に炭素の他に機械的性質向上を目的にニッケル、クロム、モリブデンなどの元素を添加したもの。
- 高周波焼入れ
- 製品の表面のみを硬化させる熱処理方法。 耐摩耗性と靱性の双方を得られる。
- 降伏点
- 軟鋼の引張試験において応力を加えていくと、始めは応力に比例して変形していくが、ある点を境に応力が下がり変形が大きくなる。この点を降伏点という。
さ行
- 再結晶
- ひずみを受けた結晶が、適当な温度に加熱されることでひずみのない新しい結晶へと置き換わること
- 材料きず
- 素材となる材料に生じたキズ
- 材料試験
- 機械的性質を調べる機械試験とミクロ組織、化学成分、地キズ、非金属介在物、偏析、焼入れ性などを調べる材質試験がある。
- 地きず
- 鋼の仕上面において,肉眼又は10倍以下の拡大鏡によって認められるピンホール,ブローホールなどによる線状のきず,非金属介在物による線状のきず,砂などの異物の介在による線状のきずなど。
- 磁粉探傷試験
- 強磁性体を磁化した場合、表層部に欠陥が存在するとき、外部空間に磁束が漏洩する。この磁束により磁粉が吸着することで欠陥を検出する試験。非破壊検査
- 絞り
- 引張試験において、試験前の試験片平行部原断面積と破断後の最小断面積との差の原断面積に対する百分率。機械的性質のひとつ
- シャルピー衝撃試験
- 切欠きのある試験片に対して、高速で衝撃を与えることで試験片を破壊し、その破壊に要したエネルギーにより試験片の靱性を評価する試験。破壊試験
- 自由鍛造
- 金型を用いない鍛造。火造り。
- ショットブラスト
- 製品の表面処理のひとつ。鍛造品は表面にスケールを生成しているため、スケール除去を目的として用いられることが多い。
- ジョミニー試験
- 焼入れ性を評価する試験。
- しわきず
- シワ状のキズ
- 靱性
- 破壊に対する感受性や抵抗。粘り強さとも言われる。
- スケール
- 鉄の表面に生成する酸化鉄。空気中の酸素と高温の鉄が反応し生成する。
- 塑性変形
- 物体に力を加えて生じる変形のうち、力を取り除いても元の形に戻らない変形を指す。⇔弾性変形
た行
- ダイセット
- 金型をプレス機に固定し、正確に上下運動させる為のガイド。
- 耐力(0.2%耐力)
- 引張試験において、明確な降伏点を持たない材料で、塑性ひずみを始める応力を指す。
- 脱炭
- 鋼材を加熱する際に空気中の酸素と鋼材表面の炭素が結合し、鋼材表面の炭素が失われる現象。 不適切な加熱条件により脱炭層が大きくなると硬さ不足などの問題となる。
- 弾性変形
- 物体に力を加えて生じる変形のうち、力を取り除くと完全に元の形状へ戻る変形を指す。⇔塑性変形
- 鍛造(冷間・温間・熱間)
- 金属を叩く、圧縮するなどの方法で目的の形状へ加工する技術。他の加工技術で成形させた製品より高い強度を持つ。
- 鍛造比
- 原断面積と成形後の断面積の比 。 変形の大きさを示す尺度。
- 炭素鋼
- 鉄に炭素を添加した鋼。炭素の含有率によって機械的性質が変化する。
- 鍛流線(メタルフロー)
- 金属を鍛えることによって金属組織が方向性を持ち、線状の流れとなりメタルフローを生成する。 このメタルフローにより高い強度を有する。
- 窒化
- 鋼材の表面だけを硬化させ、耐摩耗性を向上させる加工法。 窒化の種類としてガス、イオン(プラズマ)などがある
- 超音波探傷試験
- 超音波を試験体内部に照射し、欠陥などにより反射させることによって検出する。非破壊検査
- 調質
- 熱処理方法の一つ。 一般的に焼入れ(水、油)、焼き戻しを指す。
- テーパ
- 細長い構造物の径・幅・厚みなどが、先細りになっている状態。
- 鉄は熱いうちに打て
- 熱間鍛造の様子から派生した慣用句。精神が柔軟で、吸収する力のある若いうちに鍛えるべきである。 関係者の熱意がある間に事を運ばないと、あとでは問題にされなくなるというたとえ。
- 取り代
- 製品を加工する際の加工代。
- トリミングプレス
- 製品のバリを除去する為のプレス。
- トリム型(抜型)
- 製品のバリを除去する為の金型。
な行
- 抜き勾配
- 金型から成形品を取り出しやすくするために、製品形状にあらかじめ設けておく勾配
- 熱処理
- 鋼を目的の性質へと調整する技術。
- 熱膨張
- 熱により、体積が膨張すること。 熱間鍛造では膨張率も加味して製作される。
- 伸び(率)
- 引張試験において材料の延性を示すもので,引張試験後の破断した試験片の永久伸びを元の長さで除した値を百分率で表す。
は行
- 破壊試験
- 試験体の破断などの破壊に伴う事象や応力を計測し、その強度を調べる試験。
- ばり
- 製品となる部分からはみ出た材料
- ばりかえり
- プレスによるせん断加工や穴あけ加工、トリミングにおいて、切断面に発生する金属の出っ張り(かえり)。
- パンチ(ポンチ)
- 鍛造時に材料を打込む金型の総称。中空鍛造やアップセッターなどに良く用いられる。
- パーティングライン
- 製品の金型合わせ面のこと。バリ線
- バンドソー
- 帯状の刃を高速で回転させ、材料の切断を行う切断機。
- BTA加工
- 深穴加工
- 非調質鋼
- 別名:熱処理省略鋼 バナジウム、チタンなどの元素を添加することで熱処理品と同等の性質を持つ様に設計された材料
- 火造り
- 自由鍛造
- 引張試験
- 試料の引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する試験
- 非破壊検査(試験)
- 試験体を破壊せずに行う試験。磁粉、超音波探傷などがある。
- ビレットシャー
- 刃物により材料をせん断する切断機。ギロチンの様な切断方法。
- フォージングロール
- ロール鍛造を行う鍛造機
- 歩留り
- 製品を製造した際の、投入材料の割合。不良やバリが多いと低くなる。
- フラッシュ面
- 金型においてバリを成形する部分。
- 偏切り
- トリム時に一方側にバリが残ってしまうこと。
- 偏析
- 物質の相転移において、一つの相から別の相に分離すること。 特に、金属や合金が凝固する際に、ある金属の組成が不均一になって分布に偏りが生じること。
- 変態点
- 鉄の温度を上昇させたときに物性や相の変化が起こる温度。
- 偏肉
- 厚みなどの寸法で、一方によってしまうこと。
- ホブ加工
- 軸物などで円筒状の歯車を切削加工すること。
ま行
- マルテンサイト
- 鋼をある温度以上から急冷した時に得られる組織。硬く脆い。 焼入れとはこの組織へと変態させる工程である。
- ミクロ組織
- 金属顕微鏡などで観察される組織。数100倍程度の倍率で組織を観察する。
- ミルシート
- 対象の鋼材がもつ機械的性質や材質試験の結果が記載されている。証明書。成績書。
- メタルソー
- 丸鋸切断機。丸鋸を高速で回転させて鋼材を切断する。
- もみ割れ
- 中心部に沿って発生する割れ。 変形量が大きすぎる事や加熱温度などにより発生する恐れがある。
や行
- 矢(キー)
- 金型をハンマに固定する際のくさび。
- 焼入れ
- マルテンサイトを得る工程。硬さを得る工程。ある温度から油や水を冷却媒体として急冷する。 油焼入れ、水焼入れ。
- 焼入れ性
- 焼入れた時に表面からどれだけ深く硬い組織が得られるかの指標
- 焼きなまし
- 残留応力の除去や組織の軟化、結晶粒が粗大化したものを標準組織に戻す事を目的とした熱処理方法。
- 焼ならし
- 金属組織の結晶を均一化させて、機械的性質の改善や切削性の向上を目的とした熱処理方法
- 焼減り
- 材料の加熱に伴って発生するスケールによって、加熱の前後で質量が減ってしまうこと。
- 焼戻し
- 焼入れにより硬く脆く不安定な組織となった鋼に対して、靱性を与え安定な組織とする工程。焼入れよりも低い温度で行われる。
ら行
- 離型剤
- 金型と製品の離型効果や塑性流動の向上効果がある。黒色、白色がある。
- ロール型
- ロール鍛造に用いる金型。
- ロール鍛造
- 2個のロール型の間に加熱した材料を入れ、回転することで材料に圧力をかけて引き延ばし、成形する加工法。
わ行
- ワンヒート鍛造
- 1回の加熱で製品まで成形する鍛造。2回の場合はツーヒート鍛造。
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